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黒い雨「疾病要件拡大」 厚労相 自民議連に意向示す

 後藤茂之厚生労働相は22日、広島原爆の「黒い雨」の被害者救済に向け、被爆者認定の要件となっているがんや白内障、造血機能障害など11疾病の捉え方を広げる考えを示した。関係者によると、白内障については被爆との因果関係の証明が難しい場合でも手術歴があれば被爆者と認める方向だという。2022年4月からの新たな被爆者認定指針に盛り込む方針でいる。

 厚労省で会談した自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟の平口洋事務局長(広島2区)によると、後藤氏は11疾病について「要件を広げることはやりたい」と述べたという。

 伏線になったのは黒い雨に遭ったと訴えた原告84人全員を被爆者と認め、確定した7月の広島高裁判決。11疾病の発症にかかわらず被爆者と認めるべきだとし、被爆起因性の証明が困難だった白内障患者も救済された。この判決内容を受け、広島県と広島市は疾病要件を改めるよう求めてきた。厚労省は23日、広島県・市との第3回協議で新たな被爆者認定指針案を伝える予定だ。

 黒い雨の被害者救済を巡っては、岸田文雄首相(広島1区)も21日の記者会見で被害者の高齢化に触れ、「可能な限り多くの方を救済できるようスピード感を持って取り組まなければならない」と述べた。(樋口浩二)

(2021年12月23日朝刊掲載)

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