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広島世界平和ミッション 第四陣 放射線観測システム視察 露の核施設事故 傷深く

 ロシアを訪問中の広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第四陣メンバー四人は十四日、チェリャビンスク州にある旧ソ連時代の兵器用プルトニウム生産拠点のマヤーク核施設周辺で、放射線観測システムなどを視察した。(チェリャビンスク発 岡田浩一)

 この日の気温は氷点下七度。一行はうっすらと雪に覆われた牧草地に、州政府が設けた有人観測ステーションの現場へ。二十四時間態勢で監視を続ける地元住民の観測員から、放射線レベルや放射性降下物の計測機器の説明を受けた。

 ステーションは一九五八年から四十二カ所に設置された。州気象局が毎日、放射線量データを収集し公共機関の電光掲示板などで知らせている。

 視察に先立って訪れた州放射線安全局のメルニコフ・ウラジーミル局長(44)は、マヤークが核軍縮に伴う余剰プルトニウムや海外の原子力発電所の使用済み核燃料の再処理を行っている現状に触れ、「地元住民が核開発の犠牲になったことは忘れない。だが、ヒロシマ・ナガサキを繰り返さないために再処理を続けるのは仕方がない」と説明した。

 マヤークは四八年からプルトニウムの製造を始めた。五七年には核廃棄物の貯蔵タンクが爆発。高レベル放射性廃液の川へのたれ流しなども重なり、同州を含む計三州に放射能汚染を広げた。国に認定された被曝(ひばく)者だけでも二万三千人余に上る。

(2004年10月15日朝刊掲載)

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