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社説・コラム

天風録 『「七菌八起」が本当なら』

 〈七菌八起〉は「ななころなやおき」と読ませるそうだ。住友生命が選んだ今年の「創作四字熟語」の最優秀作品。八起が本当なら、誰しもほっとするところだが▲沖縄の米軍キャンプ・ハンセンで新型コロナの集団感染が発生している。しかもオミクロン株の疑いが色濃い。玉城デニー知事は兵士たちの外出禁止を求めたが、どこ吹く風だ。地元紙によると、マスクなしで歓楽街に出入りし、果ては酒気帯び運転でお縄になる者まで出る始末▲この基地に限らず、在日米軍全体で母国を出る時のPCR検査が省かれていた。「水際作戦」ならぬ〈水際策浅〉などと、創作してみたくなる▲地位協定により、わが国は基地内で検疫ができない。そもそも米軍は旅券を示して出入国してもいない。過去、日本にいる米軍の人員数を国会で問われた複数の防衛相は言葉を濁すしかなかった。くだんのハンセンでは、ヘリが墜落した折に山火事が起きても日本の消防の立ち入りを拒んだ。一事が万事だろう▲宣言が引っ込んでは出る〈延急事態〉はもう困る。五輪選手と外部との接触を避けるバブル方式〈泡外不出〉を在日米軍にも求めたい。いずれも、創作熟語の入選作である。

(2021年12月24日朝刊掲載)

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