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締約国会議 参加再考を 広島市長、日本政府に要望

 来年3月にオーストリア・ウィーンである核兵器禁止条約の第1回締約国会議を巡り、広島市の松井一実市長は23日、オブザーバー参加に慎重な姿勢を示した日本政府に対し「参加の選択肢を放棄しないでほしい」と再考を求めた。

 松井市長は記者会見で、米国の「核の傘」に頼る北大西洋条約機構(NATO)加盟国のノルウェーとドイツがオブザーバー参加を表明している現状に触れ「オブザーバー参加が一切ない環境とは違ってきている」と指摘。来年1月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の結果も踏まえて「もう一回考慮する時間はある」との考えを示した。

 広島選出の岸田文雄首相は、まずは米国との信頼関係を構築する必要があるなどとして慎重な姿勢だ。米バイデン政権から正式に不参加を要請されたとも報じられている。松井市長は「米国との信頼関係を築くことと両立させる道を追求しながら、ぎりぎりまで再考する姿勢で臨んでほしい」と求めた。

 禁止条約には現在、58カ国・地域が批准。欧州からはNATO非加盟のスイス、スウェーデン、フィンランドもオブザーバー参加を表明している。

 また市は、松井市長が新型コロナウイルスの影響で渡米しての参加を見送ったNPT再検討会議にオンラインで参加し、ビデオメッセージを寄せる予定と明らかにした。来年1月6日の非政府組織(NGO)の発言枠で演説するとみられる。(明知隼二、小林可奈)

(2021年12月24日朝刊掲載)

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