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「黒い雨」救済 78億円 厚労省 1万1000人認定と試算

 政府の2022年度予算案で、厚生労働省は広島原爆の「黒い雨」被害者の救済に伴う費用として78億円を確保した。これまでの広島県、広島市の調査を基に、新たに1万1千人程度の被爆者認定につながると試算している。

 23日に県、市へ示した被爆者認定指針の改正案に基づく対応。原告全84人を被爆者と認めた7月の広島高裁判決を踏まえ、原告と同じような場所や時間で黒い雨に遭った人を認定するのに伴い、医療費や月3万4970円の健康管理手当などを計上している。

 認定要件として国が定めるがんや白内障など現行の11疾病の発症は維持した上で、白内障については発症中でなくても手術歴があれば認める。

 黒い雨関係では、被害者救済の基準となる国の援護対象区域(大雨地域)を再検証する追加費用に1億7千万円を盛り込んだ。20日成立した21年度補正予算で4億円を用意しており、上積む。22年度中の方針決定に向け検証作業を急ぐ。

 被爆者援護対策費の総額は1226億円で21年度と比べて43億円増。黒い雨の関係費が押し上げ、9年ぶりに増えた。被爆建物・被爆樹木の保存費は5千万円で21年度と同じだった。(樋口浩二)

(2021年12月25日朝刊掲載)

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