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安佐町住民グループの五輪応援受け カタール選手が感謝の動画  

広島アジア大会が縁 息長い交流今も

 広島市安佐北区安佐町の安佐公民館を拠点にカタールと交流する住民グループ「カタール会」に、東京五輪ボート女子シングルスカルに出場したカタール代表タラ・アブジバラ選手(28)から応援メッセージのお返しに感謝の動画が届いた。原点は27年前の広島アジア大会。スポーツを通じた国際交流が受け継がれている。(重田広志)

 アブジバラ選手からの動画は5分37秒。大会直前にカタール会が送った激励の動画を「感動して涙が出た。私に強さを与えてくれた」と英語で振り返り「安佐町とカタールの関係が長く続くことを願う。また会いましょう」と語り掛ける。CMソングの「海の声」を日本語で歌った。

 1994年の広島アジア大会で公民館を中心に各国を応援した「一館一国運動」で、安佐公民館はカタールを担当。アブジバラ選手の父親も安佐町を訪れた。さらに2004年、子どもだった同選手は父親に連れられ安佐町を訪問。その後も安佐町と父親の交流が続き、今年6月、カタール会が同選手の東京五輪出場を知ったという。

 ただ、新型コロナウイルスの影響で大会中は会えない。同会は「頑張れ」などとアラビア語で激励する動画を送った。

 本番ではアブジバラ選手は32選手中25位だった。今月、メールで同選手の動画が届いたという。久保田清信会長(73)は「まさかお礼の言葉が返ってくるとは思わず、驚いている。いつかカタールを訪れ、本人の奮闘を直接ねぎらいたい」と話している。

一館一国運動
 42の国と地域が参加した広島アジア大会を盛り上げようと、広島市内に当時あった63の公民館などが割り当てられた選手団を応援した。大会前には文化や言語を学ぶ講座が開かれた。大会後に交流が途絶えた公民館が多い一方で、己斐公民館(西区)とスリランカ、安東公民館(安佐南区)とオマーン、五日市公民館(佐伯区)とネパールなどが交流を続けている。

(2021年12月25日朝刊掲載)

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