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元留学生 アフガン退避を 山口で支援の募金

 アフガニスタンで暮らす山口市内の大学の元留学生を救おうと、同市の市民団体「国際交流ひらかわの風の会」が募金活動を始めた。イスラム主義組織タリバンが政権を握る現地で困窮する元留学生に送金するほか、日本への渡航費や来日後の生活費に充てる。同会は「命を救い、希望を与えたい」と協力を呼び掛けている。

 「国民は経済と安全上の大惨事に直面している。多くの人が職を失い、各地で拷問も起きている」。日本に留学経験のあるアフガン人男性は、インターネット上で中国新聞の取材に答えた。タリバンが実権を掌握後に失職し、同じアフガン国内の大学に通っていた知人は殺された。「私と家族は今とても危険な状況。緊張が日に日に高まる。どうか日本へ退避する助けを」と訴える。

 氷点下の厳しい冬も迎えた。別の元留学生によると、国内はハイパーインフレで物価が急騰し生活費も上がっているという。窮状を訴える連絡は日々メンバーたちにも届く。

 風の会は、以前から交流があり日本へ出国を望む元留学生と家族の身元保証人になると決めた。ただ旅券がない家族もおり、日本へ渡れる時期は見通せない。生活費を送金し、退避が決まった場合の渡航費を確保するため募金を始めた。

 10月末から山口市の街頭などで寄付を呼び掛けている。今月中旬、同会のメンバーたち約20人が道場門前商店街で活動した時には、元留学生と空手道場で汗を流したことがある小学6年大津隆政さん(12)=同市吉敷赤田=も寄付に応じ「少しでも力になり、また一緒に練習したい」と話していた。

 専用口座は西京銀行湯田支店、普通口座「2124280」。クラウドファンディング(CF)は2022年2月末までに100万円を目指している。

 中村幸士郎会長(79)は「彼らはアフガンの復興に必要な人材。温かい心を届け、平和な世界を築く一歩にしたい」と協力を求めている。問い合わせは同会の岡孝則さん☎090(4802)1936。(山下美波)

(2021年12月25日朝刊掲載)

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