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民家から本川小に移植アラカシ 被爆樹木4年ぶり登録 広島市

 広島市は18日、爆心地から2・1キロの舟入川口町(現中区西川口町)で被爆したアラカシを、市の被爆樹木台帳に登録した。木は昨年8月、西川口町の民家の庭から、中区の本川小の校庭に移植された。市が台帳で管理する被爆樹木は約170本あり、新たな登録は4年ぶり。

 アラカシはブナ科の常緑樹で、今回登録された木は高さ4・5メートル、幹回り70センチ。木の表面には目立った傷や焦げた跡はない。市は木がしっかり根付いたのを確認し、被爆樹木への登録を決めた。

 前の所有者は中区十日市町の画家、開(ひらき)由利さん(53)。西川口町の旧宅から転居する際、庭のアラカシの寄贈を本川小に申し出た。

 爆心地から約400メートルの同小は、学校を挙げて原爆被害の継承に取り組む。アラカシが移植された校庭の一角には、他にも被爆樹木やその種から育った木が5本集められており、昨年11月に「平和の森」と命名した。

 開さんは「原爆の惨禍をくぐり抜け、その悲惨さを訴え続けてくれている木。できる限り長く生きてほしい」と話している。(田中美千子)

被爆樹木
 広島市が1996年度から登録を始めた。爆心地からおおむね半径2キロ以内で被爆し、原爆投下前からあった樹木が対象。米軍による被爆前後の航空写真との照合や、近所の被爆者の証言を基に認定する。市民が立ち入りできない個人宅を除く。現在は公園や寺など55カ所にイチョウ、エノキなど約30種類、約170本ある。市平和推進課が、老いた木の樹勢回復事業も進めている。

(2013年9月19日朝刊掲載)

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