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反核訴えた生涯 岡田さんしのぶ 中区でNPO 映像作品上映も

 4月に84歳で亡くなった被爆者の岡田恵美子さんをしのぶ会が25日、広島市中区の原爆資料館であった。NPO法人「ANT―Hiroshima」などが主催し、約100人が参加。証言活動を通じて核兵器廃絶を訴え続けた生涯を振り返る同法人の映像作品が初めて上映された。

 岡田さんは8歳の時、爆心地から2・8キロの自宅で被爆。学徒動員で市中心部に出ていた4歳上の姉を奪われた。同法人が「ヒロシマ、声/岡田恵美子」と題して制作した映像作品は、亡くなる前の3月の証言を中心に45分にまとめた。

 この日は、会場全体で黙とうをささげた後に作品を上映。「姉は『行ってきます』と出ていって今日まで帰ってこない」「どうしたら核兵器を地球上からなくすることができるか。みなさんと一緒にやらないと」―。力強く語る生前の姿に参加者が見入っていた。

 上映前後には親交のあった市民らが思いを述べた。被爆者の森下弘さん(91)=佐伯区=は岡田さんが証言のほかにもさまざまな平和活動をしていたことに触れ「私たちも積極性を学び、実践したい」と話した。岡田さんの夫の隆さん(87)=東区=は「世界平和を訴え続けた妻の思いは必ずかなうと信じている」と力を込めた。(水川恭輔)

(2021年12月26日朝刊掲載)

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