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映画「8時15分」に込めた思い共有 製作の美甘さん、熊本の中学生と

 父と祖父の被爆体験を基にハリウッド映画「8時15分」を製作した広島市東区出身の美甘(みかも)章子さん(60)=米カリフォルニア州=が、修学旅行で広島を訪れた熊本県南小国町の南小国中2年生たちと市内で交流し、作品に込めた思いを共有した。

 美甘さんは、生徒16人と大須賀町(南区)の栄橋を訪れ「祖父はここで川の水をすくい、父に飲ませました」「多くの遺体が浮かんでいたのです」と語り掛けた。生徒たちはうなずきながら聞き入った。

 大やけどを負った父進示さん(2020年に94歳で死去)が祖父福一さんの励ましを支えに生き抜く姿を描いた「8時15分」は、美甘さんの著書が原作だ。同校の井島啓貴教諭(28)が感銘を受け、自ら脚本を執筆。それを生徒が演じて映像に収録し、10月にあった文化祭で披露した。そんな取り組みが、長期帰国中の美甘さんに伝わった。

 劇で進示役を演じた宮崎真一さん(14)は「人々が必死に生きようとしていた姿が想像できた」、美甘さんは「広島とゆかりのない若者が一生懸命、平和について考えてくれて本当にうれしい」と話していた。

 映画は「シネマ映画.com」のウェブサイト上で配信中。視聴料770円。https://cinema.eiga.com(湯浅梨奈)

(2021年12月27日朝刊掲載)

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