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禎子の鶴 真珠湾に舞う 21日から常設展示 遺族も式典参加

 広島市中区の平和記念公園にある原爆の子の像のモデルとなった佐々木禎子さんが病床で作った折り鶴が、太平洋戦争開戦の舞台となった米ハワイの真珠湾にあるアリゾナ記念館ビジターセンターで21日(現地時間)から常設展示される。原爆被害を伝える資料展示は初めて。展示ケースや解説板には現地の日系人たちの寄付金が充てられた。

 折り鶴は約1センチ。2歳で被爆した禎子さんは12歳の時に白血病で亡くなった。保存していた遺族が昨年9月、「日米が遺恨を捨てて絆を強めるのに役立てたい」と寄贈。展示は、広島、長崎への原爆投下当時のトルーマン大統領の孫クリフトン・トルーマン・ダニエルさんが働き掛けて実現した。

 これを受け、広島県・ハワイ州交流企画委員会のウェイン・ミヤオ委員長(66)たちが展示ケースや解説板の整備に向け、現地の商工会や仏教寺院、広島県人会に寄付金を募った。1年がかりで7万2千ドル(約700万円)を集めた。

 21日にセンターである記念式典には禎子さんの遺族も招かれ、米国の退役軍人もスピーチする予定という。

 アリゾナ記念館は、真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナの上に立つ。米国では国立スミソニアン航空宇宙博物館が1995年、原爆展を企画した際に退役軍人たちの批判に遭い、実現しなかった。

 ミヤオさんは「理解は深まっている。開戦の地に広島の折り鶴が置かれる意義は大きい。ハワイから禎子さんの話を広め、平和のメッセージを発信したい」と話している。(田中美千子)

(2013年9月20日朝刊掲載)

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