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合意文書の採択訴え 広島県、190ヵ国・地域に書簡

 広島県は28日、来年1月4日から米ニューヨークの国連本部で始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、日本を除く加盟190カ国・地域に「実質的事項を含む最終合意の採択による成功」を訴える書簡を電子メールで送った。1月5日午後11時からウェブ上で開く関連行事への参加も呼び掛けた。

 書簡は、最終文書に合意できなかった2015年の前回会議の失敗で、NPT体制の信頼性が大きく揺らいでいると強調。各国に誠実な参加を求めた。

 湯崎英彦知事は28日の記者会見で、核兵器の数を減らす▽核兵器の役割を減らす▽核兵器を使う動機を減らす―の3点を挙げ、今回は核軍縮につながる合意が得られるのを期待した。役割の低減では、敵の核攻撃阻止や反撃に絞る「唯一の目的」や、核攻撃への反撃に限定する「先制不使用」宣言の重要性を訴えた。

 1月5日の行事は、各国で異なる安全保障上の脅威の認識と核抑止の関係を議論する。核兵器保有国の米国、中国、ロシア、インドの専門家4人が各国の立場を解説。それぞれの考えを理解し、核抑止に頼らない安全保障の糸口を探る。

 ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、一般にも公開する。英語で、通訳はない。県のウェブサイト「国際平和拠点ひろしま」で、1月5日午後5時まで申し込みを受け付ける。概要と発言録の日本語訳を数日後、サイトに掲載する。(宮野史康)

(2021年12月29日朝刊掲載)

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