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戦中・戦後 亡夫の記録 美土里の蔵田さん発見 日記や寄せ書き

 広島県安芸高田市美土里町生田、無職蔵田悦子さん(84)が、2年前に89歳で亡くなった元高校教諭で夫の守行さんの残した旧制中学や従軍時代の日記などを見つけた。戦地に赴く戦友との別れなど、戦時中の体験などが切々と記してある。

 見つかったのは1939年から47年までの日記16冊や縦80センチ、横100センチの日章旗に書かれた寄せ書き2枚など。戦時中、兵庫県の丹波篠山地方で通信兵として駐屯した時代の数字を羅列した軍用電報紙などもある。

 先月、悦子さんが離れで遺品を整理中、木箱に保管されているのを見つけた。日記は旧制中学時代から、学徒出陣で配属された陸軍時代、戦後に復学したころにかけて書かれたとみられる。

 日記には「別れはそれがどんなものであるか、自分たちが皆よく知ってゐ(い)る」「鳴呼(ああ)、別れ、別れ、二度と会へない…」などと戦地に赴く戦友への思いを記している。

 守行さんは49年に英語の高校教諭となり、83年に吉田高を定年退職した。箱の中身については悦子さんには何も語っていなかった。

 悦子さんは「夫は戦争中にどう生きるべきかを、興味のあった哲学や文学に求めていたのではないか。日記を読ませて子や孫に戦争の悲惨さを教えたい」と話していた。(椎木一郎)

(2013年9月20日朝刊掲載)

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