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原爆症の認定 議論は平行線 被団協と厚労相

 原爆症認定制度の課題を話し合う日本被団協などと厚生労働相との定期協議が20日、厚労省で開かれた。長期化している厚労省の認定制度の在り方検討会をめぐり、結論を待たずに可能な範囲からの改善を求める被団協側と、年内の最終報告を待ちたい厚労相の議論は平行線をたどった。

 被団協、原爆症認定集団訴訟全国原告団、同訴訟全国弁護団連絡会から計15人と、田村憲久厚労相が出席。被爆者を中心に約100人が傍聴した。田村厚労相は冒頭、1年10カ月ぶりになった開催を「政権交代などでお待たせして申し訳なかった」と陳謝した。

 被団協の田中煕巳(てるみ)事務局長は「検討会の報告を待たないでも解決できる課題がある」と指摘。原爆放射線の影響を否定する特段の理由がない限り、白内障や心筋梗塞などを積極的に認定するよう、大臣裁量での基準改定を求めた。

 田村厚労相は「被爆者の気持ちを踏まえて援護行政を進めたい」と述べる一方、検討会が年内にまとめる最終報告書を待って対応する考えを繰り返し示した。出席者からは「検討会の結論では被爆者が望む認定拡大にならない恐れがある」と懸念の声が相次いだ。

 弁護団の宮原哲朗事務局長は、終了後の記者会見で「厚労相から前向きな発言はなかったが、被爆者の生の声を聞き、政治決断の必要性を感じてもらえたはずだ」と強調した。

 定期協議は2009年、国の敗訴が相次いだ原爆症認定集団訴訟の解決の場として、麻生太郎首相(当時)と被団協の合意で設置。民主党政権で2回開かれた。自民党と公明党の政権復帰後は初開催となった。(藤村潤平)

(2013年9月21日朝刊掲載)

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