国連の目標に核なき世界を 広島県 推進グループ発足へ ポストSDGs目指す
22年1月6日
原爆投下から100年となる2045年に「核兵器のない世界を実現する」という項目を国連の目標にしようと、広島県が国内外の非政府組織(NGO)に呼び掛けてグループづくりを進めていることが5日、分かった。国連が現在掲げている「持続可能な開発目標(SDGs)」は30年に期限を迎える。次の目標を巡る議論をリードし、核兵器保有国を含めた各国の合意とするのを目指す。
複数の関係者によると、グループにはすでに海外を含む複数の団体が参加の意向を示しており、22年度前半にも発足させる。人類が存続していくためには核兵器が障壁になるという視点で議論を喚起し、ポストSDGsに位置付けるよう働き掛ける。国連の会議で協議に参加できる資格の取得も構想している。
県はグループづくりにあたり、核兵器の廃絶を持続可能性との観点から捉え直した。具体的には、核兵器について「ひとたび使用されれば世界の環境、社会、経済の基盤を破壊する。SDGsを達成させる全ての努力への脅威」と設定した。これを基に核廃絶を看板にする団体に加えて、環境や人権問題に取り組む団体にも賛同を広げたいという。
県は21年2月に発表した「ひろしまイニシアチブ」の骨子で、核保有国を含めた核兵器廃絶の合意を30年までに結ぶと定めた。推進母体として4月、地元官民によるへいわ創造機構ひろしま(HOPe)を設立。各国政府やNGOとの交渉役に、国際経験が豊かな島田久仁彦氏を起用した。今回のグループ形成も、地方から国際政治へ影響を及ぼしたい意欲の表れとなる。
国連は15年に開いた加盟国首脳たちの国連サミットで、「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継としてSDGsを採択した。ポストSDGsを巡る議論は25年ごろから本格化する見通しだ。アントニオ・グテレス国連事務総長は、18年に発表した軍縮アジェンダの柱に核兵器の廃絶を掲げ、核保有国に核兵器の削減を進めるよう求めている。(宮野史康)
(2022年1月6日朝刊掲載)
複数の関係者によると、グループにはすでに海外を含む複数の団体が参加の意向を示しており、22年度前半にも発足させる。人類が存続していくためには核兵器が障壁になるという視点で議論を喚起し、ポストSDGsに位置付けるよう働き掛ける。国連の会議で協議に参加できる資格の取得も構想している。
県はグループづくりにあたり、核兵器の廃絶を持続可能性との観点から捉え直した。具体的には、核兵器について「ひとたび使用されれば世界の環境、社会、経済の基盤を破壊する。SDGsを達成させる全ての努力への脅威」と設定した。これを基に核廃絶を看板にする団体に加えて、環境や人権問題に取り組む団体にも賛同を広げたいという。
県は21年2月に発表した「ひろしまイニシアチブ」の骨子で、核保有国を含めた核兵器廃絶の合意を30年までに結ぶと定めた。推進母体として4月、地元官民によるへいわ創造機構ひろしま(HOPe)を設立。各国政府やNGOとの交渉役に、国際経験が豊かな島田久仁彦氏を起用した。今回のグループ形成も、地方から国際政治へ影響を及ぼしたい意欲の表れとなる。
国連は15年に開いた加盟国首脳たちの国連サミットで、「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継としてSDGsを採択した。ポストSDGsを巡る議論は25年ごろから本格化する見通しだ。アントニオ・グテレス国連事務総長は、18年に発表した軍縮アジェンダの柱に核兵器の廃絶を掲げ、核保有国に核兵器の削減を進めるよう求めている。(宮野史康)
(2022年1月6日朝刊掲載)