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ヒロシマ鎮魂の響き 被爆二世の佐村河内さん作曲

■記者 永井友浩

 広島市佐伯区出身で被爆二世の作曲家、佐村河内(さむらごうち)守さん(45)=横浜市=が作曲した鎮魂歌「レクイエム・ヒロシマ」の初公演が31日、広島市中区の原爆ドーム前の元安川川岸であった。佐村河内さんが見守る前で、地元の児童合唱団や高校生たち約100人が合唱に祈りを込めた。

 荘厳な調べに乗せ、「ア」の発声だけで構成する合唱。観光客たちも足を止め、約6分間の川面に響く音色に聞き入った。

 両親が被爆者で、妻も被爆二世の佐村河内さん。35歳で聴覚を失ってから平和への思いを強くし、「被爆という闇と、言葉では表せない深い祈りを感じてもらいたい」と歌詞のない合唱を考案した。

 参加したのは広島少年合唱隊、広島ジュピター少年少女合唱団、広島ジュニアコーラスのメンバーと、崇徳高(西区)呉港高(呉市)の生徒。事前に被爆に関する本を調べるなど準備したという。

 川の対岸から見守った佐村河内さん。「思いを見事に実現してくれた。若い君たちが、広島であったことを語り継いでほしい」と深々と頭を下げた。

(2009年6月1日朝刊掲載)

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