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禎子の鶴 真珠湾に光 常設展示開始 遺恨越え 交流に期待

 「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんが作った折り鶴の常設展示が米ハワイ州の真珠湾で始まった。米国が投下した原爆の被害の悲惨さを訴える折り鶴が、太平洋戦争開戦の舞台へ―。禎子さんゆかりの人からは過去の遺恨や日米双方の立場を越えて実現した展示の意義を喜び、新たな交流に期待する声が上がった。

 折り鶴が展示されるビジターセンターは、旧日本軍が先制攻撃して沈没した米戦艦アリゾナの上に立つ記念館の入り口に当たる。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)は「戦争当時は憎み合ったが、平和を求める思いは共通だ。広島と一緒に核兵器廃絶のうねりをつくってほしい」と喜ぶ。

 約1センチの折り鶴が展示されるケースや解説板は、現地の日系人たちの寄付金7万2千ドル(約710万円)が充てられた。禎子さんと幟町小(広島市中区)で同級生だった川野登美子さん(71)=中区=は「米国では原爆が戦争を終わらせたという考えもある中、寄付を募るのは大変だったはず。多くの人の思いが込められている」と話した。

 禎子さんをモデルにした原爆の子の像(中区)の前で、長年生徒による碑前祭を開いている幟町中の光友芳文校長(56)は「世界中の子どもに見てほしい」と訴える。

 「小さな折り鶴だが、子どもの心には強く残るだろう。禎子さんがどんな思いを折り鶴に込めたか想像してほしい」(新山京子)

(2013年9月23日朝刊掲載)

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