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岩国基地で酒提供継続 山口県の要請 効力及ばず

 新型コロナウイルスの感染が急拡大した要因とみられている米軍岩国基地(岩国市)内で、一部の飲食店が酒類の提供を続けていることが、基地関係者への取材で分かった。山口県は「まん延防止等重点措置」の対象の岩国市と和木町の全ての飲食店に9~31日に酒類の提供を停止し、午後8時までに営業を終えるよう要請しているが、基地内には日米地位協定により効力が及ばない実態がある。

 基地内のあるレストランでは、感染が急拡大した昨年12月下旬以降、酒類だけの提供をやめた一方、食事と一緒に注文された場合は提供しているという。営業も午後10時まで続けている。12日以降はテークアウトの営業だけにするとの情報もある。

 店内にはアクリル板の設置など市内の多くの店で見られる対策はなく、関係者たちからは「昼間から酒類を飲む客がいる」「マスクをせず、店に出入りする米軍関係者も多い」などと不安の声が出ている。

 飲食店での酒類提供の有無を尋ねる中国新聞の取材に対し、基地報道部は事実関係を明らかにせず「24日午前6時まで、在日米軍に関連する全員が基地の外での活動を日常生活に欠かせない活動だけに限定されている」などと答えた。

 重点措置を担当する山口県防災危機管理課は、基地内の飲食店が酒類を提供している事実を把握しておらず、基地に提供停止の要請もしていない。同課は「重点措置の根拠となるコロナ対応の改正特別措置法や食品衛生法などの国内法は、日米地位協定に基づいて米軍基地内には適用できない」と説明している。

 岩国市の福田良彦市長は7日、基地内でフレデリック・ルイス司令官と会談し、感染拡大を防ぐため、県や市と基地が「同じ思いで闘わないといけない」との認識を確認していた。(永山啓一)

(2022年1月12日朝刊掲載)

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