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広島世界平和ミッション ウクライナ外相と対話 第四陣、核廃絶訴え

 ウクライナを訪問中の広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第四陣メンバーは二十二日夕(日本時間同日深夜)、キエフ市の外務省で、コスチャンティン・グリシチェンコ外相(51)と会い、秋葉忠利広島市長から託された平和メッセージを贈った。(キエフ発 岡田浩一)

 一行四人を代表して被爆者の森下弘さん(73)=広島市佐伯区=がメッセージを渡し、「核兵器の廃絶に一層のご尽力を」と呼び掛けた。文面は被爆六十周年の来年を「核兵器廃絶の芽が萌(も)える希望の年にするため、力を尽くし、行動していただくことを心から期待申し上げます」とつづられている。

 グリシチェンコ外相は「私たちもチェルノブイリ原発事故の経験から、市長メッセージの意義がよく分かる」とあいさつ。ソ連から独立後、国内に配備されていた核兵器をロシアに移送し、全廃した経緯を説明した。

 さらに、テロの脅威が膨らむ中で「千発の核弾頭を持っていたとしても自国の安全は守れない」と強調。「わが国は核兵器の廃棄によって、かえって国際社会で安定した地位を得られた」と話した。

第三陣 テロの痛み 広島で報告

 広島世界平和ミッションで七月に約四週間、フランス、英国、スペインを巡った第三陣の報告会が二十三日、広島市中区の市女性教育センターであり、市民約二十人が参加した。

 筑波大一年の花房加奈さん(19)=中区出身=は、スペインのマドリードで起きた列車爆破テロによる被害者らに会った経験から「被害者の心痛の深さと命の大切さをあらためて学んだ」と報告。社会福祉士の山田裕基さん(27)=廿日市市=は「人との出会いなど身近なところから平和を築いていきたい」と語った。

 「欧州ではまだ被爆の実状が伝わっていないと感じた」と、胎内被爆者の石原智子さん(58)=安佐南区。被爆者の細川浩史さん(76)=中区=は「被爆地に触れるのと同じように、コベントリー(英国)など戦争やテロがあった現場に立つ大切さを実感した」と話した。

 英国ブラッドフォード大大学院生の野上由美子さん(31)=安佐北区出身=は「今回の経験を生かして、英国で若者にヒロシマを伝える活動などに取り組みたい」とメッセージを寄せた。

 報告会は「広島世界平和ミッション」を支える市民の会などが主催した。

(2004年10月24日朝刊掲載)

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