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広島世界平和ミッション 交流・対話…体験語る メンバー2人 修道大で出前授業

 原爆被害の実態や和解のメッセージを核保有国などに伝える「広島世界平和ミッション」(広島国際文化財団主催)の参加メンバーによる「出前授業」が二十九日、広島市安佐南区の広島修道大で始まった。

 授業には、篠原収広島女学院大教授の「平和運動論」を選択する学生約四十人が出席。南アフリカ共和国とイランを訪ねた第一陣の専門学校生小山顕さん(25)=東区=と中国、韓国を巡った第二陣の広島大大学院生で中国人の岳迅飛さん(32)=東広島市=の二人が、訪問国の写真や地図を示しながら体験を語った。

 小山さんはまず、平和や核問題に関心はあっても、何をしたら良いか分からずにいたミッション参加前の自身について紹介。訪ねた南アフリカやイランの市民との交流で「文化を通じて互いの悲惨な歴史を共有し合える」と実感し、帰国後、原爆をテーマにした音楽劇に英語の字幕を付けるボランティアにかかわった経験を話した。

 またイランの毒ガス兵器被害者との交流を例に、「広島は廃虚から復興した町として、世界の人たちが希望や期待を持って見ていることを忘れないで」と語り掛けた。

 岳さんは被爆地で暮らす中国人留学生として母国で感じた歴史認識の違いを埋める対話の難しさを打ち明けた。しかし、言葉が通じない被爆者と旧日本軍による毒ガス兵器被害者が握手で心を通わせた場面に、「身近な話から始めれば、人は国家の壁を乗り越え、対話できると思った。そこから未来志向の平和が生まれる」と締めくくった。

 三十日は広島女学院大でも「出前授業」がある。

 「広島世界平和ミッション」事務局では、各国を巡った参加メンバーや同行記者による「出前授業」を実施します。問い合わせはTEL082(236)2656。

(2004年11月30日朝刊掲載)

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