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地位協定対応 与野党に差 米との改定協議 首相は否定 感染要因 国会論戦へ

 広島、山口、沖縄3県での新型コロナウイルス「オミクロン株」感染拡大を巡り、日米地位協定の在り方について与野党の見解が分かれている。政府・与党は見直し不要とし、立憲民主党と共産党は検疫面で協定の不平等解消を訴える。日本維新の会と国民民主党は日米間の対話促進を優先する立場。17日召集の通常国会での論戦が注目される。(桑原正敏)

 在日米軍関係者の検疫は日米地位協定によって米軍任せで、昨年9月から未検査のまま米本土から基地に入っていたことが判明。米軍岩国基地のある岩国市から山口、広島両県に感染拡大するなど、政府の水際対策に「穴」が生じた。

 岸田文雄首相(広島1区)は6日、官邸で報道陣に「協定の改定は考えていない。現実の中で最善の対応をしていく」と述べた。指示を受けた林芳正外相(山口3区)は、協定に基づき両国が協議する日米合同委員会で出入国時の検査を含めた保健・衛生上の課題を話し合うと強調した。

 公明党の石井啓一幹事長は「水際措置で日本と同水準の対応を取るよう米国に強く求めてほしい」と政府に迫る一方、協定の見直しは否定的。「運用で対応可能」と政府に同調した。

 立憲民主党は、泉健太代表が「協定を見直し、検疫で日本と同等な状況を作り出すべきだ」と強調。国会論戦に備え、小川淳也政調会長らに論点整理を指示した。共産党の志位和夫委員長は「根本に治外法権的な問題点がある」とし「抜本改正を政府に求めていく」と話す。

 日本維新の会の馬場伸幸共同代表は「日米両政府で実務面の話し合いから始めるべきだ」とした。国民民主党は13日、政府に米軍基地のクラスター対策などを申し入れた。玉木雄一郎代表は「今回は見直し以前の問題。日米合同委員会でしっかり議論し、感染症対策の徹底を」と述べた。

(2022年1月16日朝刊掲載)

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