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[西日本新聞から] 長崎の団体 証言集出版 在ブラジル被爆者 広島での体験も

 被爆体験の継承や掘り起こしに取り組む長崎市の市民団体「長崎の証言の会」が証言集「証言2021 ナガサキ・ヒロシマの声」(汐文社)を出版した。長崎と広島の被爆者ら8人の証言を収録している。

 8人のうち1人は、長崎に原爆が投下された直後、日赤救護班として国民学校で負傷者の救護に当たった女性。手記では、体中にガラスの破片が刺さった患者の姿や苦しそうなうめき声など、当時の同校の様子が詳細に記述されていた。薬品が不足する中、救護活動を続け「毎日が戦場そのものでした。生き地獄そのものです」と振り返っている。

 女性は一昨年亡くなり、家族が遺品を整理していたところ手記を見つけ、証言の会に寄せたという。事務局長の森口貢さん(85)は「76年が経過し証言が取りにくく、貴重なものばかり」と話す。

 ブラジル在住の盆子原国彦さん(81)の広島での被爆体験と、2020年に解散したブラジル被爆者平和協会に関する証言も掲載。特集「資料から考える『原爆体験の継承』」では山口響編集長(45)らが原爆に関わる資料の保存状況や現状の課題などを指摘している。

 証言集の出版は通算78冊目。2100円。同会☎095(848)6879。

(2022年1月17日朝刊掲載)

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