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ゲン閲覧制限撤回1ヵ月 43校中39校で「解除」 選書の在り方模索も

 松江市教委による漫画「はだしのゲン」の閲覧制限は26日、市教委の要請撤回から1カ月を迎えた。所蔵する43校中39校で制限が解除され、子どもの自由な読書環境が戻った。制限を受け入れた反省を踏まえ、図書選定の在り方を探る動きも各校に広がっている。(樋口浩二)

 古志原小は8月下旬、図書館に置く本の購入基準の検討を始めた。昨年12月に要請に従っており、柳野幸敬校長(60)は「子どもの知る権利への意識が薄かった」と認める。この反省から、司書と司書教諭の計5人で議論し、年度内に基準を策定する。「子どもの学習をどう支えるか、全教員(54人)の指針になる」と同時に「市民への説明もしやすくなる」と効果を見込む。

 だが策定作業の難しさに直面する学校も。ある小学校長は「基準に縛られると思うと成文化しにくい」。「教育的配慮も必要。理念を盛り込むだけでは不十分」との声もある。

 市教委によると、図書館を持つ49小中学校のうち基準を持つのは松江四中と東出雲中の2校。「生徒が興味・関心を持つ資料を収集する」など大まかな方向性を示す内容で、詳細は全国学校図書館協議会の基準に倣う。

 現場には市教委に指針の提示を求める声もあるが、市教委学校教育課は「選書は現場の自主性に委ねる。他校の事例や有識者の紹介など相談役に徹する」との立場だ。

 城北小は2008年以降、選書に子どもの声を反映させるため「選書会」を年2回開く。図書館に並べた数十冊の本から児童が好きな本を選んで投票し、上位の本を学校が購入する仕組みだ。

 会には全校児童550人のうち約半数が訪れ、直後は貸出数が普段の30~40倍に増えるという。学校司書富谷美紀さん(35)は「児童の希望は選書の大事な要素。図書館への関心を高めるメリットも大きい」と話している。

(2013年9月26日朝刊掲載)

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