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島根原発防波壁 稼働へ期待と不安 地元 安全審査・同意 見通せず

 中国電力の島根原子力発電所(松江市鹿島町)に海抜15メートルの防波壁が完成した26日、地元では再稼働・稼働手続きの進行に対する期待と不安が交錯した。中電は、原子力規制委員会が再稼働・稼働の条件とする他の安全対策も来年度中に終える。だが、規制委の安全審査や地元同意といったハードルが待ち構え、先行きは依然不透明だ。

 「安全性に余裕を持たせた」。完成した防波壁を見渡す高台でこの日、中電島根原子力本部の井田裕一広報部長は胸を張った。福島第1原発事故を受け、想定する最大津波9・2メートルより5・8メートル高い壁を設けた点を強調した。

 「あれほど高い壁で囲まれていれば安全は確保できるだろう」。鹿島町の古浦自治会の亀城幸平会長(63)は防波壁の完成を評価する。一方、市民団体「平和フォーラムしまね」(松江市)の杉谷肇代表(71)は「原発近くには宍道断層(延長22キロ)もある。地震への備えはまだ不十分」と懸念を隠さない。

 中電は年度内にも規制委に2、3号機の安全審査を申請するが、審査期間は「半年が目安」(規制委事務局の原子力規制庁)。4電力が6原発の審査を申請したが審査チームは3班だけで、仮に中電が申請しても審査の開始時期は見通せない。

 一方、規制委がより厳格な審査基準を設ける島根と同型の沸騰水型原発でも、申請の動きが出始めた。東京電力は27日、柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を申請する。地元の新潟県が申請を条件付きで容認する方針を決めたためだ。

 島根県の溝口善兵衛知事は、稼働の是非の判断は審査終了後に下す考え。県民と県議会、原発30キロ圏の県内3市(出雲、雲南、安来市)の意向も参考にするとしている。(樋口浩二)

<島根原発の主な安全対策>

                    1号機          2号機           3号機
                 出力46万キロワット  出力82万キロワット  出力137.3万キロワット
                  1974年3月稼働   89年2月稼働       建設中
防波壁               26日完成       26日完成        完成済み
フィルター付きベント設備    対応未定       2014年度完成    14年度完成
免震重要棟           14年度完成      14年度完成      14年度完成

(2013年9月27日朝刊掲載)

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