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米軍「酒提供は可能」 岩国基地巡り主張 地位協定 盾か

 新型コロナウイルスの感染急拡大の要因とみられる米軍岩国基地(岩国市)内の一部飲食店が酒の提供を続けている問題で、外務省は18日、米軍が「基地内での酒類提供は可能だ」と主張していることを明らかにした。基地内に日本の権限が及ばない日米地位協定を盾にしているとみられる。

 山口県は「まん延防止等重点措置」を適用した岩国市と和木町の飲食店に酒を出さないよう要請している。基地内はこれに足並みをそろえることなく酒類の提供を継続していたことが判明し、外務省は12日、米軍に事実関係を照会。返答まで6日もかかった。

 在日米軍基地はコロナ感染拡大を受けた日米両政府の共同声明に基づいて不要不急の外出などを制限する一方、基地内の酒提供停止には触れていない。外務省日米地位協定室は「声明以上の行動制限を求める考えはない」とし、情報共有の遅れも「改善を働き掛ける予定はない」との姿勢を示した。

 松野博一官房長官はこの日の記者会見で「地元自治体から米軍施設内の具体的な感染拡大防止策まで要請するつもりはないとの意向を聞いている」と説明。「地元の不安が解消されるよう日米で緊密に連携し、適切かつ機敏に対応する」と述べるにとどめた。(口元惇矢、樋口浩二)

(2022年1月19日朝刊掲載)

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