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連載・特集

広島世界平和ミッション ウクライナ編 未来への模索 <4> 石棺の今

 「三十キロ圏内立ち入り禁止」。沿道の立て看板に、マイクロバス車内の空気が張りつめた。平和ミッション第四陣一行を乗せたバスは、チェルノブイリ原子力発電所へ向かった。キエフから北へ約二時間。最初の検問所に差しかかる。ここから先は政府の許可なしでは入れない。監視の兵士が、パスポートの顔写真と本人を照合した=写真。十五分後に再び出発。沿道の雑木林の奥に無人の民家が並ぶ。あの惨事から十八年余。周囲の木々は住み手を失った家々をのみ込むように覆っていた。

(2005年1月13日朝刊掲載)

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