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島根原発、年内に安全審査申請見通し 再稼動へ中国電 2号機準備を先行

 中国電力が年内に、島根原子力発電所(松江市鹿島町)の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請する見通しであることが27日、分かった。定期検査で停止している2号機(出力82万キロワット)の準備を先行させる見込みとなっている。(樋口浩二、山瀬隆弘)

 関係者によると、島根県と松江市に対して10月中旬に、申請の事前了解を求める。それぞれの議会での議論などを経て、県と市は12月中に申請を認めるかどうかの結論を出す方向だ。

 中電は2号機と完成間近の3号機(137万3千キロワット)について申請準備を進めており、まず2号機の審査を目指す方針。「地元の意向を踏まえた上で、できるだけ早く安全審査を申請したい」としている。

 中電は、規制委がまとめて7月に施行した原発の新規制基準に対応するため、1千億円超を投じて過酷事故対策などの工事を進めており、海抜15メートルの防波壁は今月26日に完成した。来年度中に工事を全て終える。再稼働には、規制委の審査で合格するのに加え、地元の同意が必要となる。

【解説】経営状況の改善図る

 中国電力が島根原発の再稼働を急ぐのは、厳しい経営状況を改善させるためだ。ただ、7月の新規制基準の施行後も、住民の安全への不安は解消されていない。中電には安全最優先の姿勢が求められる。

 島根原発が全停止して2年目の今夏、中国地方も記録的な猛暑となったが、中電は他電力に電力融通を求めることなく乗り切った。需給面だけでは、中国地方で原発を稼働させる緊急性は低い。

 ただ、代替の火力発電の燃料費がかさみ、電力会社の収支は悪化。原発を持つ全国9社のうち6社が電気料金を抜本的に値上げし、1社が値上げする方針でいる。残る2社のうちの1社である中電は、早期の原発再稼働で値上げを回避したい考えだ。

 新規制基準により安全が確保されるのか、不安を抱く地元住民は少なくない。原子力災害対策の重点区域が半径30キロに広がり、関係する自治体は増えている。中電は、再稼働に向けた対策や考えを丁寧に説明する必要がある。(山瀬隆弘)

原発の安全審査
 電力会社が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の安全審査を受け、規制基準に適合することが必要。規制基準は、東京電力福島第1原発事故を教訓に規制委が従来の指針などを見直し、7月に施行した。過酷事故や地震、津波対策などを強化した。27日までに5電力会社が申請した。

(2013年9月28日朝刊掲載)

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