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島根原発の再稼働時期は不透明 地元は安全性に不安の声

 島根原子力発電所(松江市)2号機の再稼働に向けた安全審査を年内に申請する見通しとなった中国電力。審査には少なくとも半年程度かかり、その後に地元の同意を得る必要がある。地元には安全性への不安もあり、再稼働の時期は見通せないままだ。(山瀬隆弘、樋口浩二)

 中電は「2、3号機で鋭意、安全審査の申請書類を作成している。申請時期を具体的に申し上げる段階にない」とする。

 申請時期を明言しないのは、地元とのトラブルを避けるためだ。27日に柏崎刈羽原発(新潟県)の審査を原子力規制委員会に申請した東京電力は、7月上旬に「早期申請」を決めていた。しかし、新潟県知事から「地元軽視」と非難され、その後2カ月かかった。中電は「申請手続きは、地元の意向を踏まえて進める」と言う。

 申請前に事前了解を得るよう求めている島根県の溝口善兵衛知事は、中電からの連絡がないことを明らかにし「地元の意見をしっかりと踏まえてほしい」と注文した。

 中電が再稼働を図る背景には、厳しい経営環境がある。昨年1月の島根原発全停止を受け、2013年3月期は4年ぶりの赤字だった。今期も原発が動かなければ黒字は難しい。社内には「いつまでも現行の電気料金を維持できる余裕はない」との声もある。

 中電が地元の事前了解を得て規制委の安全審査に入ったとしても、審査に要する期間は見通しにくい。合格した後に地元同意を得る作業にも、時間がかかる可能性がある。

 中電が安全審査を申請する見通しを受け、まつえ北商工会(松江市)の青山正夫筆頭理事は「ただでさえ地元経済は苦しい。早期の稼働につながればありがたい」と歓迎。一方、原発が立地する松江市鹿島町の農業中村栄治さん(77)は「福島第1原発事故の原因が究明されていない段階での規制基準は信頼できない」と指摘する。

 申請を認めるかどうかを審議する島根県議会総務委員会(9人)の大屋俊弘委員長は「安全対策の進行状況と中電の説明を聞かない限り、何とも言えない」と話した。

(2013年9月28日朝刊掲載)

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