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原発交付金財源の上関2施設、来月中旬にも着工 事業費4.4億円圧縮

 山口県上関町は、国の原発交付金で建設する総合文化センターと農水産物市場を10月中旬にも着工する。福島第1原発事故後、上関原発建設計画に伴う交付金が見通せないとして先送りしていた。規模を当初より縮小し、事業費を約4億4千万円少ない約11億6千万円に圧縮して実現を図る。(井上龍太郎)

 ともに同町室津の埋め立て地に整備する。文化センターは15年3月、市場は14年10月にオープンする見通し。文化センター約9億6千万円、市場約2億円。原発交付金を積み立てた整備基金約10億1千万円を充てる。

 町は当初、原発の着工以降に配分される交付金を両施設の維持運営費に充てることを想定し、2011年度の着工を目指してきた。

 しかし、福島の事故後に国の原発政策が不透明となり、計画の練り直しを進めていた。すでに昨年7月に当初案を縮小する設計変更をしていた。

 文化センターは鉄筋2階建て延べ約2450平方メートル。1階に中央公民館と多目的ホール、2階に県内全19市町で唯一なかった公立図書館を設ける。

 市場は文化センターに隣接する鉄骨平屋約610平方メートル。加工食品や野菜、鮮魚の販売、飲食コーナーを設ける。情報発信スペースも用意。町は「道の駅」登録を目指し、関係先と調整している。

 同町は11年末、原発交付金を使って温浴施設「上関海峡温泉 鳩子の湯」を近くに建設した。町は雇用創出を図るとともに、一帯の拠点性を高めて観光収入の増加につなげたい考えだ。

(2013年9月28日朝刊掲載)

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