×

ニュース

「核禁条約に背向けるな」 発効1年 日本なお未批准 廃絶への一歩 ヒロシマから訴え

 核兵器の開発や保有などを全面的に禁じる核兵器禁止条約が22日、発効から1年を迎えた。条約にはこれまでに59カ国・地域が批准したが、核兵器保有国や米国の「核の傘」に頼る日本政府は背を向けたままだ。被爆地広島では、被爆者たちが日本政府に一刻も早い署名・批准を求め、「核なき世界」の実現に向けた行動を保有国に促した。(小林可奈、山田祐)

 広島市中区の原爆ドーム前ではこの日、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の10人が集まり、「核兵器禁止条約に全世界の参加を」と日本語と英語で記した横断幕を掲げた。足立修一代表が声明を読み上げ、核兵器の非人道性を世界に広く認識させた条約の意義や、今なお推計約1万3千発もあるとされる世界の核弾頭数に言及。「保有国が条約の署名・批准に背を向ける態度は許されない。日本政府に速やかに署名・批准するよう求める」と訴えた。

 「核兵器廃絶の先頭に」。近くの繁華街でも、広島県原水協と県被団協(佐久間邦彦理事長)が横断幕を広げ日本政府に行動を求めた。

 日米両政府は21日、各国指導者や若者に被爆地の広島、長崎を訪れるよう提唱する共同声明を発表したが核兵器禁止条約には触れていない。佐久間理事長は「条約は核兵器廃絶に向けた第一歩。両政府が廃絶への道筋を描けているとは思えない」と強調。条約の実効性を高めるため、批准国を増やす重要性を説いた。

 条約は2017年7月、国連で122カ国・地域が賛成し採択された。20年10月に批准国・地域が要件の50に達し、21年1月22日に発効した。3月にオーストリア・ウィーンである第1回締約国会議に北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツとノルウェーがオブザーバー参加の意思を表明するなど、理念を共有する動きも出ている。

(2022年1月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ