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「ヒロシマ・アピールズ」第1作 ポスター原画 川崎で所蔵 故亀倉氏の代表作

 世界に平和を訴えようと1983年に始まった「ヒロシマ・アピールズ」のポスターの第1作の原画が、川崎市の市民ミュージアムに所蔵されていることが分かった。日本のグラフィックデザイン界をリードした故亀倉雄策氏の代表作の一つ。関係者が、被爆地広島での公開を目指している。

 原画は水彩で縦79センチ、横61センチ。炎の尾を引いて燃え落ちる無数のチョウが描かれている。亀倉氏が構想し、イラストレーター横山明氏(74)=岡山市北区出身=が仕上げた。原画をベースに制作されたポスターは海外でも称賛され、64年の東京五輪のポスターなどと並ぶ亀倉氏の代表作となった。

 ヒロシマ・アピールズは、83年に始まった。90年から15年間の中断を経て2005年に再開し、ことしで16回目。日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)とヒロシマ平和創造基金(広島市中区)、広島国際文化財団(同)が毎年さまざまなアーティストに依頼して制作している。

 JAGDAは来年6月、中区で大会を開く。地元支部であるJAGDA広島地区が、大会に合わせてヒロシマ・アピールズの歴代作品展を計画する中で、原画が川崎市のミュージアムにあることが判明した。ミュージアムは88年に横山氏から購入後、ほとんど公開していないという。

 原画公開には湿度などの厳格な管理が必要で、JAGDA広島地区の納島正弘代表幹事がミュージアムと協議している。納島代表幹事は「歴史的な作品の原画を市民に感じてほしい」と話している。(藤村潤平)

(2013年9月29日朝刊掲載)

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