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連載・特集

広島世界平和ミッション ボスニア・ヘルツェゴビナ編 紛争を超えて <5> 信念の鎮魂歌

 「永遠の安息を彼らに」―。死者の魂を鎮める歌声が悲痛に、劇的に響き渡る。平和ミッションの第四陣一行は、サラエボ交響楽団が国立劇場で開いた平和コンサートに招かれた。演目はモーツァルト作曲の「レクイエム」。昨年九月に起きたロシア・北オセチア共和国の学校人質事件で亡くなった三百人以上にささげられる。開演前にメンバーが贈った折り鶴のバッジを胸に、指揮者はタクトを振る。六百人の聴衆は不屈の楽団の音色に心を打たれ、犠牲者の冥福と平和を祈った。

(2005年2月12日朝刊掲載)

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