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ゲン閲覧制限 小中3校 閉架を継続 松江 「教育的配慮」の姿勢

 松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を撤回して1カ月余り。30日までに、所蔵する小中学校43校のうち39校が制限を解除し1校が解除方針を決めた一方、3校が本棚から書庫に移す閉架を続ける。保護者が開架に異を唱えた学校や、生徒の受け止めを不安視するケースなどで「教育的配慮が必要」との姿勢がにじむ。

 「過激な表現を自由に見せることに低学年の保護者から反対の声が上がった」。ある小学校長は明かす。

 問題の発覚後「ゲン」全巻を読んだという中学校長は「ある程度戦争の知識がないと正確に理解できない」と判断。教員約10人に「ゲン」を読んでもらい、読後の意見を基に対応を決めるという。

 それぞれことし1月、昨年12月の市教委の要請を受け、開架から閉架にした。「これを機に図書の選定基準を議論するべきだ」との姿勢は共通する。ともに今月、結論を出す。

 別の小学校は、要請前の2011年1月から独自の判断で閉架している。「子どもの興味が漫画に偏っている」とみた当時の校長が、他の漫画と書庫に収めさせたという。現校長は「学校図書館は一般の図書館と違う。時に教師が制限することも必要」とする。

 学校図書館の在り方に詳しい日本図書館協会前理事長の塩見昇氏(76)は「閉架は学びの可能性を閉ざす。社会的関心が高まった今こそ、教材として自由に読ませ議論を深めてはどうか」と提案している。(樋口浩二)

(2013年10月1日朝刊掲載)

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