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連載・特集

広島世界平和ミッション インド編 国家と市民 武力誇示 陰に貧困

最低生活も保障なく

 国家と市民―。二つの言葉は、決して対立するものではないだろう。だが、しばしば二つの間には大きな溝ができるものだ。

 一月二十六日。インドの共和国憲法が公布された記念日に、広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第五陣一行は、首都デリーで毎年繰り広げられる祝賀パレードに出かけた。

 直前の津波被害に配慮して「自粛ムード」とされた今回。しかし、陸海空軍や警察隊の勇ましい行進、戦車、ミサイル、戦闘機などインドの軍事力を誇示する軍事パレードに加え、各州をアピールするカラフルな山車の登場は、私たちの目には十分すぎるほど派手だった。

 一方で街を歩くと、どこにも貧しい人たちの姿が目につく。その日を生き延びるのが精いっぱいの人たち。そのしわ寄せは、子どもたちの上にもかかる。

 多額の国家財政を投入し、「軍事力」に象徴される国家の下で、最低限の暮らしも保障されずに生きるのが平和なのか…。そんな素朴な疑問に駆られながら目にしたインドの一面を写真で紹介する。

(文・森田裕美 写真・山本誉)

(2005年3月19日朝刊掲載)

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