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社説・コラム

『この人』 陸上自衛隊第13旅団長に就任した 松永康則(まつなが・やすのり)さん

 中国地方5県を管轄し、約3500人の隊員がいる陸上自衛隊第13旅団(広島県海田町)のトップ。門のそばの石碑「百万一心」の実践を求める。戦国武将・毛利元就が一致団結する大切さを説いた言葉。「人は必ず失敗する。皆で支え合い、心を一つに任務を遂行してほしい」と話す。

 広島で働くのは2度目となる。1度目は2018年7月の西日本豪雨。幕僚副長だった中部方面総監部(兵庫県伊丹市)から広島県庁に派遣されて約1カ月間、坂町小屋浦や呉市天応地区などの被災地に全国の部隊を送る調整役を担った。「県や市町の職員、土木業者の皆さんと連携できてありがたかった」

 出身は北海道苫小牧市。祖父の勧めもあって防衛大学校に進み、自衛官の道を選んだ。「知識や技能だけでなく、集団生活などを通して精神的にも育ててもらえた」と振り返る。

 印象深いのは入隊2年後の1992年に成立した国連平和維持活動(PKO)協力法。同期らがカンボジアに派遣された。「国内だけで国民のため家族のための任務だったのが、一気に世界に広がった」。国際社会の安定と国外任務の意義を意識するようになった。

 「生活に溶け込んでいる歴史と伝統に触れたい」と、休日には宮島(廿日市市)や松下村塾(萩市)など各地の史跡を巡る予定だ。妻と大学生の息子2人を東京に残し、昨年12月下旬に単身で着任した。「子どもは野球をやっていたので、野球観戦に来たいと言っている」と目を細めた。(二井理江)

(2022年1月28日朝刊掲載)

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