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戦禍に耐えたピアノ響け 宇部で修復企画 20日慈善演奏会

 第2次大戦中の空襲では焼失を免れたが、老朽化して使えなくなった大正時代のドイツ製グランドピアノを復活させる企画が山口県宇部市で進んでいる。市民グループが20日、修理費用を賄うチャリティーコンサートを同市の渡辺翁記念会館で開く。

 ピアノは1923年、宇部興産の前身の沖ノ山炭鉱の創業者や初代宇部市長、医師ら約20人が出資してドイツから輸入。現在の新川小に寄贈した。世界的に著名なスタインウェイ&サンズ社製で、学校の授業や地域の音楽会で親しまれた。

 45年の空襲で同校も一部は焼けたが、教員の消火活動でピアノは焼失を免れた。戦後は著名なピアニストによる演奏会も開かれた。その後、同小の倉庫に眠っていたが、街づくりなどに取り組む「咲夢プロジェクト」総括の真部尚志さん(41)=宇部市=らが歴史的な背景を知り、修理しようと思い立った。

 ピアノは現在、渡辺翁記念会館のロビーに展示中。傷が目立ち、象牙の鍵盤は表面が剝がれて黄ばみ、弦は交換が必要という。真部さんは「市の発展に尽くした人たちの思いを受け継ぎ、音楽文化を広めるきっかけにしたい」と話している。

 コンサートは20日午後2時から。マリオ・ヘリング氏がピアノ、ノエ・乾氏がバイオリンを演奏する。一般5300円、高校生以下4300円。宇部市民活動センターTel0836(36)9555。(門戸隆彦)

(2013年10月3日朝刊掲載)

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