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「中央図書館の移転」計上 設計費など 市長「説明する」 広島市22年度予算案

 広島市は31日発表の2022年度一般会計当初予算案に、老朽化した中央図書館(中区)をJR広島駅前の商業施設「エールエールA館」(南区)に移すための設計費などとして計1億7700万円を盛り込んだ。移転に反対する署名活動も始まっているが、松井一実市長は「市の考えや必要な費用を知ってもらうための予算。必要な説明はしたい」と強調。移転計画を進める考えを示した。(余村泰樹)

 当初予算案には、同じ建物にある中央図書館と映像文化ライブラリー、近くにあるこども図書館をA館に移転・集約する基本・実施設計費を計上。A館の一部フロアの取得に向けた不動産鑑定費も盛り込んだ。

 市は新たな図書館を広島の文化・歴史の発信拠点とし、駅周辺のにぎわいづくりも狙う。駅南口の新駅ビルが開業を予定する25年度中の開館を目指し、23年度以降にA館のフロア取得や整備工事を進めるとする。

 一方で、移転には反対の声もある。読み聞かせボランティアや児童文学作家でつくる市民団体が1月、こども図書館の移転に反対する署名活動を始めた。発起人の一人の吉田真佐枝さん(66)は「図書館の在り方について考える情報も、十分な議論もないまま予算が計上され、困惑している。大勢の市民が利用する施設なので、十分に意見を聞いた上で進めてほしい」と訴える。移転計画の内容について具体的な説明が乏しく、市議会からも疑問の声は相次ぐ。

 松井市長は31日の記者会見で「駅前が大きく変わる中、駅周辺には商業施設だけでなく、文化施設も配置する必要がある」と説明。現地での建て替えと比べて財政負担が軽い点も挙げ「大きなまちづくりの中で多くの人の利便性を考え、移転を提案した。十分議論し、説明すれば理解は深まると思う」と強調した。

(2022年2月1日朝刊掲載)

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