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被爆証言ビデオ 東北中心に収録 震災や原発事故体験も

 広島県外で暮らす被爆者の証言を映像で記録し公開している広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館は8日から、東北地方と新潟県で被爆者17人の証言を収録する。2003年度に始めた証言収録は既に全国を一巡し、東北地方は2回目。原爆の惨状に加え、東日本大震災や福島第1原発事故の受け止めを聴く。(田中美千子)

 収録は福島県からスタート。原発事故の影響が大きい県東部の田村市で男性(86)の証言を聴く。17日までに、青森1人、岩手2人、宮城7人、秋田3人、新潟3人を訪ねる。81~89歳の男性14人、女性3人で、各県の被爆者団体から推薦された。山形県は対象者の体調不良で収録を見送った。

 祈念館の職員が各県を訪問。被爆体験やその後の人生を尋ね、震災や原発事故の体験や心境の変化も聴く。1人当たり約20分間の映像に編集。来年4月から館内で流し、祈念館のホームページでも一部公開する。

 祈念館は03年度から、全国をブロックに分けて証言を映像で記録してきた。これまでに収録したのは計272人で、東北地方では05年度に24人の話を聴いた。松井悟副館長は「震災から2年半が過ぎ、証言をお願いできる時期になったと判断した。被爆者は高齢化が進んでいる。貴重な肉声を集めたい」としている。

(2013年10月3日朝刊掲載)

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