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ビナードさん「五山賞」特別賞 核廃絶訴える物語など評価

 米国出身で、広島と東京を拠点に活動する詩人アーサー・ビナードさん(54)作の紙芝居「ちっちゃい こえ」(童心社)が、子どもの文化研究所(東京)主催による「五山賞」の特別賞を受賞した。丸木位里・俊夫妻の連作「原爆の図」を再構成した斬新な手法や、核廃絶を訴える物語が評価された。

 「教育紙芝居の父」といわれる高橋五山の名を冠した五山賞は、前年度の出版物のうち最も優れた紙芝居に贈られる。新型コロナウイルスの影響で2019、20年度分の選考は延期となっていた。「ちっちゃい こえ」は19年度刊行の56作品の中から、紙芝居の演じ手や画家らの審査を経て選ばれ、今年1月に発表された。

 作品は「原爆の図」の一部を反転させたり色を変えたりして作成。生き物を形づくる「サイボウ」をテーマに物語を展開し、核を問う。子どもの文化研究所は「重い題材を分かりやすく、心に響く物語にした」などと評価。紙芝居の新しい可能性を示したとして特別賞に位置付けた。

 ビナードさんは「尊敬する五山さんの名の付いた賞に選ばれ、大変光栄。今後の創作の励みになる」と話している。(福田彩乃)

(2022年2月3日朝刊掲載)

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