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放射線と人権 広島で考える 擁護大会始まる 日弁連

 日弁連の第56回人権擁護大会が3日、広島市中区の広島国際会議場で2日間の日程で始まった。初日は、福島第1原発事故の被害者の救済を考える「放射能による人権侵害の根絶をめざして」など三つのテーマごとにシンポジウムを開催。弁護士や市民たち計約2500人が参加した。

 放射線被害をテーマにしたパネル討論では、4人の有識者が登壇した。福島県が全県民を対象に進めている健康管理調査について、京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「本来は国が責任を持つべき仕事。福島の子どもが将来、病気になっても県外との比較ができない」と指摘した。

 原爆症認定集団訴訟で、広島地裁の訴訟の原告代理人を務めた足立修一弁護士(広島弁護士会)は、原爆被爆者の援護の仕組みに触れた上で「国が主体となった調査で事実を積み重ね、(原発被害者の権利を保障する)手帳制度をつくるべきだ」と提言した。  福島の事故当時に首相だった菅直人氏も出席し、インタビュー形式で事故時の状況などを語った。

 憲法改正をテーマにしたシンポジウムでは、法律家養成塾塾長の伊藤真弁護士(東京弁護士会)が「自民党の改憲草案は基本的人権を危うくし、再び戦争に導く恐れがある」と問題提起。このほか、格差社会の問題についても議論した。

 4日は弁護士のみが参加対象となる。原発事故被害の完全救済と脱原発を国に求める決議などを採択し、閉幕する予定。(長久豪佑、根石大輔)

(2013年10月4日朝刊掲載)

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