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原爆症訴訟 東京高裁判決1週間 いらだつ原告側

■記者 岡田浩平

 原爆症認定集団訴訟の東京高裁判決から4日で1週間が過ぎた。判決を踏まえて訴訟の解決を図ると言い続けてきた政府の動きは鈍く、原告側は「病んだ被爆者をまだ傷つけるのか」といらだち、不安を募らせている。

 正午すぎ、東京・霞が関の厚労省前。原告、支援者たち約70人が全面解決を求めて座り込みをした。マイクを握り「総理、官房長官、厚労大臣は約束を守れ」などと訴えた。

 原告側は5月28日の判決後に3回、厚労省と協議。認定行政の見直しと原告の「全員救済」による解決に向けた前進を期待した。しかし厚労省の担当者は「一連の司法判断を踏まえて判断をする」と繰り返した。江利川毅事務次官も4日の記者会見で原告側の求める敗訴原告の救済を含めた解決に慎重な姿勢をみせた。

 3日の原告団の会見では「官僚の厳しい抵抗に動揺している」と、河村建夫官房長官や舛添要一厚労相の政治解決への姿勢を疑問視する声も相次いだ。

 一方、与党の被爆者対策プロジェクトチーム(PT)のある議員は3日にも河村氏に会い決断を迫った。「長官の決意は変わらないが、まずは厚労省の解決案を待つ姿勢」と言う。ただ別の議員は「長官は明るいだけの表情ではなかった」と行政と政治のはざまに立つ心境を解説する。

 原告側は民主党に対し、参院厚労委員会で原爆症に対する政府の基本姿勢を問う集中審議を開くよう働き掛けている。全国原告団の山本英典団長(76)は「これ以上被爆者がだまされることのないよう、解決に向けた姿勢を示してほしい」と話している。

(2009年6月5日朝刊掲載)

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