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広島世界平和ミッション 米核開発の地の州都 サンタフェ反核決議 平和ミッション滞在中の市議会 「機運を盛り上げ」

 広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)第六陣一行が滞在中の米国ニューメキシコ州サンタフェ市の市議会は十三日夕(日本時間十四日早朝)、核兵器工場の新設拒否などを盛り込んだ反核決議を採択した。州都でもある同市の決議は、核開発の中枢施設であるロスアラモス国立研究所などを抱え核依存経済の強い州だけに画期的である。(サンタフェ発 岡田浩一)

 メンバーはこの日、地元の平和団体の会員ら市民十数人とともに傍聴席から討議を見守った。

 市議の一人が「国の方針に沿わない決議を地方自治体が認めるべきではない」と反対した。だが決議案を提案したミゲル・チャペス市議(51)は「市民の間でも決議を求める声が大きい」と主張。市議八人中七人が賛成して採択された。

 決議は「核兵器の改良や新たな設計、工場新設などを憂慮する」と表明。今後は地元選出の国会議員らを通じて、米国政府に①核拡散防止条約(NPT)に従った核兵器の積極的な廃絶②国内での核兵器関連施設の新設拒否③同州北部での核廃棄物処理の停止―など五項目を求めている。

 同市議会の決議の背景には、放射性廃棄物による汚染問題や、一国至上主義的な立場から核開発を進める米政府に反対する市民が増えていることがある。アルバカーキやタオスなど周辺市でも決議への機運が高まっている。

 平和団体代表のグレッグ・メローさん(55)は「平和ミッションの訪問は、機運の盛り上げに大きな意義があった。決議は米国で平和文化を築く一歩だ」と強調。米ダートマス大経営大学院生の木村峰志さん(34)=広島市安佐北区出身=も「ブッシュ政権下の米国にあって勇気ある決断だ。私たちの活動の励みにもなる」と採択を喜んでいる。

松島さんが米で入院 交代の村上さん出発

 広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第六陣メンバーとして米国行脚中に体調を崩し緊急入院した被爆者の松島圭次郎さん(76)=広島市佐伯区=に代わって、同じ被爆者の村上啓子さん(68)=茨城県牛久市=が十四日、成田空港から米国へ出発した。

 村上さんは現地時間の十五日に、ニューメキシコ州サンタフェ市からオハイオ州コロンバス市に入る第六陣の一行と合流。その後、首都ワシントンやニューヨーク市など米東部を中心に他のメンバーと行動を共にする。松島さんは体調回復後に帰国する。

 村上さんは八歳の時、広島市中区白島九軒町の自宅で両親とともに被爆。広島市内で美容院を経営しながら戦後を生き抜き、十年ほど前から国内外で被爆証言活動を続けている。二年半前に、長女が暮らす茨城県内に移り住んだ。

 村上さんは「松島さんの代役をしっかり果たしたい」と話していた。

(2005年4月15日朝刊掲載)

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