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広島・本通り アンデルセン旧館 被爆の証人 取り壊し検討

 広島市中区の本通り商店街に残る被爆建物、広島アンデルセン旧館の取り壊しを、アンデルセングループ(中区)が検討していることが分かった。耐震工事に多額の費用が掛かることが判明。歴史的建物の維持が困難となっている。存続策も探りながら、来年度中に結論を出す。(桑島美帆)

 同社によると、商業施設になっている旧館の大幅改装を当初は計画。だが、耐震基準に合う改築は構造上やコスト面から難しいことが分かり、建て替えの検討に入った。

 創業70周年となる2018年に旧館を新しい形にする考え。取り壊しのほか、存続させて耐震性を高められるかどうか、来年2月にプロジェクトチームをつくり精査する。被爆建物への助成制度がある広島市とも協議する。

 旧帝国銀行広島支店だった旧館は、爆心地から360メートルで被爆。グループ創業者の故高木俊介氏が1967年に購入し、レストラン併設のパン販売店に再生させた。増改築を重ね、02年には1億5千万円をかけて大規模な耐震補強工事をした。さらなる耐震工事の費用は、これを上回る可能性がある。

 本通り商店街では02年に旧山口銀行本通支店が解体され、広島アンデルセン旧館が唯一の被爆建物となった。

 高木誠一会長は「予算が限られる中、被爆建物をどうするかは最大の課題。地域のお客さまの要望にできる限り沿う努力をする」と話している。

広島アンデルセン旧館
 ルネサンス様式の2階建て。1925年、三井銀行広島支店として建設。旧帝国銀行広島支店だった45年に被爆し、大きく損傷した。故高木俊介氏が67年に購入、店舗にした。78年、隣接地に建てた8階建ての新館と一体化した。

(2013年10月6日朝刊掲載)

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