医療センター「早く前に」 山口県知事が3期目抱負 人口減対策も 基地現行の枠組みで連携
22年2月8日
村岡嗣政知事が当選から一夜明けた7日、県庁で記者会見を開き、3期目の抱負を語った。選挙戦で公約に掲げた県立総合医療センター(防府市)の建て替えについて、4年間の任期中に「できるだけ早く前に進める」と決意を述べた。最重要課題とする人口減の克服に注力する考えも示した。(渡辺裕明)
医療センターは新型コロナウイルスの重症、中等症の患者に対応する県の重点医療機関。県内で唯一、エボラ出血熱など危険性が極めて高い患者を受け入れられる第1種感染症指定医療機関でもある。現在の病舎は1983年の建設から約40年がたっている。
村岡知事は「県民にとって、今は何かあったときに命と健康が守られるという安心が何事にも代え難い。将来にわたり、県の安心を支えられる医療機関を造り上げたい」と説明した。建物の老朽化を踏まえ、機能の強化が必要と強調。センターとは現在地での建て替えを含め、議論を重ねているという。
具体的には感染症に対応する機能の充実に加え、がんや救急、周産期医療で最先端の技術を導入する構想を描く。センターでは第5世代(5G)移動通信システムを活用してへき地医療の支援を実証しており、この取り組みを広げる。
2020年の国勢調査で県人口は80年ぶりに140万人を割り込んだ。村岡知事は人口減に歯止めをかけるため、企業誘致や産業の振興、子育て支援や教育を充実させる一方で、都市部からの移住者の取り込みに力を入れる考えを示した。
総務省が1月に公表した21年の人口移動報告で、主に30~60代の男性と4歳児までの転入が転出を上回ったデータを紹介。「コロナ禍で価値観が変わり、地方移住の意識が高まっている。リモートワークができる環境をもっと整え、この流れを強いものにしたい」と力を込めた。
村岡知事の記者会見での主なやりとりは次の通り。
―投票率が過去最低でした。受け止めは。
今回は「まん延防止等重点措置」が全県に適用されていた。私自身が選挙カーに乗らなかったことも一定の影響があったと思う。体は一つしかないので、コロナ対応に専念するという判断は取るべきものだった。
―米軍岩国基地と、どのように向き合いますか。
基地内の感染を抑え、基地の外でも対策を講じるよう求めている。現行の枠組みの中で連携して取り組みたい。住民が不安や危険を感じる訓練はあってはならず、騒音も生活に配慮してほしい。安全で平和な暮らしを守るため、市町と連携して国や米側に伝える。
―県立総合医療センターの建て替えを掲げました。
老朽化もあるが、建て替えで機能を強化したい。感染症医療の充実はもとより、県の医療の中核を担うセンターとして、最先端の技術を導入して全県の医療を支える。できるだけ早く実現したい。
―昨年末の公選法違反で損なわれた信頼の回復にどう取り組みますか。
副知事が辞職する事態となった。再発防止に全力を挙げることが信頼を回復する唯一の方法だ。今後、県庁で選挙を巡る組織的な勧誘は一切せず、外部から求められても全て断る。現在、調査を進めており、庁内で徹底させたい。
(2022年2月8日朝刊掲載)
医療センターは新型コロナウイルスの重症、中等症の患者に対応する県の重点医療機関。県内で唯一、エボラ出血熱など危険性が極めて高い患者を受け入れられる第1種感染症指定医療機関でもある。現在の病舎は1983年の建設から約40年がたっている。
村岡知事は「県民にとって、今は何かあったときに命と健康が守られるという安心が何事にも代え難い。将来にわたり、県の安心を支えられる医療機関を造り上げたい」と説明した。建物の老朽化を踏まえ、機能の強化が必要と強調。センターとは現在地での建て替えを含め、議論を重ねているという。
具体的には感染症に対応する機能の充実に加え、がんや救急、周産期医療で最先端の技術を導入する構想を描く。センターでは第5世代(5G)移動通信システムを活用してへき地医療の支援を実証しており、この取り組みを広げる。
2020年の国勢調査で県人口は80年ぶりに140万人を割り込んだ。村岡知事は人口減に歯止めをかけるため、企業誘致や産業の振興、子育て支援や教育を充実させる一方で、都市部からの移住者の取り込みに力を入れる考えを示した。
総務省が1月に公表した21年の人口移動報告で、主に30~60代の男性と4歳児までの転入が転出を上回ったデータを紹介。「コロナ禍で価値観が変わり、地方移住の意識が高まっている。リモートワークができる環境をもっと整え、この流れを強いものにしたい」と力を込めた。
基地 現行の枠組みで連携 一問一答
村岡知事の記者会見での主なやりとりは次の通り。
―投票率が過去最低でした。受け止めは。
今回は「まん延防止等重点措置」が全県に適用されていた。私自身が選挙カーに乗らなかったことも一定の影響があったと思う。体は一つしかないので、コロナ対応に専念するという判断は取るべきものだった。
―米軍岩国基地と、どのように向き合いますか。
基地内の感染を抑え、基地の外でも対策を講じるよう求めている。現行の枠組みの中で連携して取り組みたい。住民が不安や危険を感じる訓練はあってはならず、騒音も生活に配慮してほしい。安全で平和な暮らしを守るため、市町と連携して国や米側に伝える。
―県立総合医療センターの建て替えを掲げました。
老朽化もあるが、建て替えで機能を強化したい。感染症医療の充実はもとより、県の医療の中核を担うセンターとして、最先端の技術を導入して全県の医療を支える。できるだけ早く実現したい。
―昨年末の公選法違反で損なわれた信頼の回復にどう取り組みますか。
副知事が辞職する事態となった。再発防止に全力を挙げることが信頼を回復する唯一の方法だ。今後、県庁で選挙を巡る組織的な勧誘は一切せず、外部から求められても全て断る。現在、調査を進めており、庁内で徹底させたい。
(2022年2月8日朝刊掲載)