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コソボ、被爆石の返礼 広島市に水晶の原石寄贈

 コソボのラメ・ブジャ文部科学相が7日、広島市を訪れ、世界平和の願いを込めて同国産の水晶の原石を寄贈した。被爆した路面電車の敷石で作った「祈りの石」を市民団体が贈った返礼という。市は市庁舎1階ロビーで公開する予定でいる。

 原石は幅28センチ、高さ29センチ。白い結晶が、金や銀の混じった鉱石の表面を覆う。台座には日本語と英語で「暴力のない世界を創る不断の決意を表現する」と刻まれている。

 コソボは2008年にセルビアから独立を宣言するまで激しい紛争を経験した。ブジャ氏は松井一実市長に面会し、「私たちの心は平和を願う皆さんと共にある」と述べた。松井市長も「平和の思いの結晶体。大事にする」と感謝した。

 祈りの石は、原爆投下の目標とされた相生橋(中区)付近の敷石で、平和を祈る観音像などを彫り込んだ。「ひろしま・祈りの石の会」が1991年から各国に贈る活動を続ける。これまでに104カ国へ贈ったが、返礼の品が届いたのは初めてという。(田中美千子)

(2013年10月8日朝刊掲載)

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