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広島世界平和ミッション 第一陣が縁 続くヒロシマ交流 毒ガス被害のイラン訪問へ

 昨年四月の広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)第一陣のイラン訪問がきっかけで、現地の毒ガス兵器被害者や支援団体と交流を続ける広島市の特定非営利活動法人(NPO法人)「モーストの会」(津谷静子理事長)の会員ら十九人が二十三日から十二日間、同国を訪れる。毒ガス患者のケアなどがテーマの国際会議や被害地での平和記念式典に参加する。

医師や学生 23日から 国際会議や平和式

 訪問するのは、薬剤師でもある津谷さん(50)ら第一陣メンバー三人をはじめ、医師四人、音楽家、大学生ら。旧陸軍の毒ガス工場があった竹原市の大久野島で働いた人たちを診療してきた呉共済病院忠海分院元院長の行武正刀さん(71)=三原市=も加わる。参加者は五月下旬に広島市内の教会に集まって話し合うなど準備を進めている。

 一行は二十五日にテヘランである国際会議に出席。イラン・イラク戦争(一九八〇―八八年)の毒ガス被害者を支援する現地の医師らと、広島大による大久野島の毒ガス患者の臨床研究も踏まえて医療分野の情報交換をする。国際法や平和運動の観点から、化学兵器廃絶についても討議する。

 八七年六月に市街地へ毒ガス弾を投下され、住民自ら「第二のヒロシマ」と呼んでいるサルダシュト市では、悲劇から十八年を迎える二十八日の平和記念式典に参列。被害者とも交流する。

 ミッション訪問を契機に、昨年は原爆記念日に合わせ毒ガス被害者ら八人を広島に迎えた津谷さんは「被爆地から被害者に励ましと希望を届けたい」と交流の広がりに期待。行武さんは「毒ガス被害者の苦しみは同じ。今後、イランで予測される肺がんの多発に警鐘を鳴らしたい」と話している。

(2005年6月10日朝刊掲載)

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