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韓国で被爆者調査 広島県、初めて職員派遣

 広島県は8日、被爆者健康手帳の交付を申請した83~68歳の韓国人の男女6人に対する交付の可否を判断するため職員2人を韓国に派遣し、聞き取り調査を始めた。申請者が高齢で電話では詳細を確認できないため、国と協議して決めた。手帳交付に向けて広島県が職員を海外に派遣するのは初めて。

 県によると、6人は釜山市や近隣に住む3人ずつの2組のきょうだい。広島市で被爆当時は0~15歳で、1組は爆心地から3・5キロの庚午北町(現西区)、もう1組は4・5キロ離れた祇園町(現安佐南区)で被爆したとして、ことし3月と7月に日本国内の支援者を通じ申請した。いずれも証人はいない。

 在外被爆者に手帳交付のための渡航費を援助する国の「渡日支援事業」では通常、来日前に電話で詳細を確認する。県は電話で連絡を取ったが、2組とも記憶のしっかりした年長者の耳が遠く、意思疎通が図れなかったため、国に相談。同事業費から県が約20万円を受け取り、7日に職員2人を派遣した。

 職員は8日、韓国被爆者協会釜山支部できょうだいごとに聞き取りをした。9日に帰国し、証言を県戦災史や過去の交付事例と照合し、証人がいなくても被爆が確認できれば交付する方針でいる。

 同事業の窓口は広島、長崎の両県市と山口県、大阪府、福岡県にあり、これまでに長崎県と長崎市が現地に職員を派遣して計61人に手帳を交付した。広島県被爆者支援課は「高齢で渡航が困難になった人が増えており、柔軟に対応したい」としている。(門脇正樹)

(2013年10月9日朝刊掲載)

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