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広島世界平和ミッション 米国編 核兵器開発の拠点施設 新戦略 役割再び増大

 広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第六陣一行は四月上旬、米国の核兵器開発をリードする二つの拠点施設を訪れた。ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所とカリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所である。

 ロスアラモス研究所は、第二次世界大戦中の原爆開発計画「マンハッタン・プロジェクト」の決定を受けて、一九四三年に建設が始まった。テネシー州のオークリッジ核施設で取り出されたウラン235と、ワシントン州のハンフォード核施設で抽出されたプルトニウム239がロスアラモスに持ち込まれて二つのタイプの原爆を製造。四五年八月、広島と長崎にそれぞれ投下された。

 現在は地中貫通型核兵器や小型核兵器の開発、既存の核兵器の維持管理などの役割を担い続けている。

 一方、リバモア研究所は当初から「ロスアラモスと競合」させる目的で五二年に設立。水爆や大陸間弾道ミサイルの開発などに取り組んできた。両研究所はまさに競い合って、米国の核戦略体系を支えてきた。

 ブッシュ米政権がテロ組織や「ならず者国家」からの防衛を口実に「使える核兵器」の開発など新たな核戦略を打ち出すなか、両研究所の役割も再び増大している。

 世界の核軍縮の声や周辺住民の放射能汚染への不安を無視しての両施設の存続。現地を訪れたメンバーは四人は「無駄で危険な研究開発をやめさせなければ」との思いを新たにした。

(文・岡田浩一 写真・松元潮)

(2005年6月10日朝刊掲載)

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