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浅野家ゆかり 「観古館」開館100年 広島で名品展

 広島県立美術館(広島市中区)の敷地に戦前まであった旧広島藩主浅野家の美術館「観古館(かんこかん)」の開館からことしで100年。広島城下の歴史・文化を今に伝える同家ゆかりの古典籍や絵図を集めた「江戸の広島をめぐる名品展」が、県立美術館で開かれている。

 観古館は1913(大正2)年10月に開館。国内最初の私立美術館ともいわれ、浅野家の和漢古書や刀剣、茶器類などを展示し、年間4万人余が訪れたという。39年に隣接する縮景園とともに広島県へ寄付された後、45年の原爆で焼失した。

 名品展は、県立美術館と、浅野家伝来の古文書など「浅野文庫」(約1万件)を所蔵する広島市立中央図書館(中区)が企画。両館に収まる計16件を展示している。

 「芸備諸村瀑布(ばくふ)図」は広島藩内の名滝46景を描写。「島々真景之図」からは厳島など瀬戸内の活気を感じ取れる。現存最古の「西遊記」の刊本や彩色豊かな奈良絵本、短冊状の札543枚に旬の食材を記した浅野家の献立資料は、大名家の教養や暮らしを物語る。

 広島藩の絵師岡岷山(みんざん)らの花鳥画、城下の人々が山車を繰り出した砂持加勢(すなもちかせい)の祭礼図も並び、江戸期に花開いた芸術や庶民の息吹を堪能できる。20日まで。(林淳一郎)

(2013年10月10日朝刊掲載)

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