×

ニュース

広島県の平和構想中期計画 核軍縮採点を継続 15年度まで 円卓会議も

 広島県は、各国の核軍縮・不拡散の取り組みを採点する「ひろしまレポート」の作成と、各国の専門家を集めて核軍縮の道筋を探る円卓会議の開催を、2015年度まで続ける方針を固めた。今月中の取りまとめを目指す「国際平和拠点ひろしま構想」の中期計画に盛り込み、核兵器廃絶に向けた被爆地からの発信強化に取り組む。(野崎建一郎)

 ひろしまレポートはことし4月、核兵器保有国を含めた19カ国を対象に核軍縮や核不拡散の実績を採点し、初めて発表した。被爆者や研究者から評価の声が出る一方、臨界前核実験を繰り返す米国に加点するなどした県の採点基準を疑問視する意見も聞かれた。

 県は第1弾のレポートの内容について、国内外の専門家や研究機関に論評を依頼。採点基準などの方法も必要に応じて修正する。核兵器をめぐる国際的な動きをより網羅した内容にするため、対象国を増やして継続する意向でいる。

 7月に日本、米国、中国、韓国、オーストラリアの外相経験者や研究者16人が集い、核兵器廃絶の道筋を探った円卓会議「ひろしまラウンドテーブル」も14、15年度、継続開催する。

 初回は議論を深めるにとどまったが、次回は提言を取りまとめるなど会議の成果を示す方向で準備する。将来は各国政府の代表が参加する会議へのステップアップを目指す。

 拠点構想は11年度に策定され、県は現在、13~15年度の具体策をまとめた中期計画づくりを進めている。核兵器をめぐる国際会議の誘致や、国連訓練調査研究所(ユニタール)の広島事務所(中区)と連携した人材育成拡充なども盛り込む方向で調整している。

 県平和推進プロジェクト・チームは「世界への働き掛けを強めるには継続的な取り組みが大切。一歩ずつ前に進めたい」と話す。

国際平和拠点ひろしま構想
 広島県が2011年にまとめ、被爆地広島の役割として核兵器廃絶への貢献や平和構築分野の人材育成を掲げる。本年度は「ひろしまレポート」の作成や円卓会議の開催など、構想に盛り込まれた事業を本格化させた。現在は被爆地復興のプロセスを検証するリポートづくりや、平和構築に関する研究を集積する方法の検討を広島市や県内の大学と連携して進める。

(2013年10月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ